2025/11/30 08:55




サーモントメガネは、上部フレームがプラスチックまたはアセテートで、下部フレームが金属製という特徴的なデザインを持つ眼鏡のスタイルです。

このデザインは「ブロウライン(browline)」とも呼ばれ、眉のラインを強調することからその名が付けられました。サーモントメガネの起源は、20世紀中頃のアメリカにさかのぼります。

1940年代から1950年代にかけて、視力矯正用眼鏡は金属フレームやセルロイド・アセテート製のフレームが主流でした。しかし、当時の人々はメガネを単なる視力補助具ではなく、顔の印象を左右するファッションアイテムとしても意識し始めていました。

そんな中で登場したサーモントメガネは、上部に太めのプラスチックフレームを設けることで、顔の表情に力強さと個性を与えるデザインとして注目されました。

特徴的な構造は、フロントの上部に太めの樹脂素材を用い、下部のリムは細い金属線で支えるというものでした。このデザインは、軽量で耐久性があると同時に、顔の表情を強調する効果もありました。

特に知的で落ち着いた印象を与えることから、ビジネスマンや学者、映画俳優など幅広い層に支持されました。

1950年代から1960年代にかけて、サーモントメガネは社会的にも象徴的な存在となりました。映画やテレビの影響で、教育者や政治家、成功した男性の象徴として広く認知され、スタイルアイコンの一部となりました。

その後、1970年代にはファッションの多様化とともに、サーモントメガネの人気は一時的に下火になりますが、レトロ回帰やヴィンテージファッションの流行とともに再び注目を集めるようになります。

1990年代以降は、クラシックなデザインとしての価値が見直され、現代のデザイナーズメガネでもサーモントスタイルが取り入れられるようになりました。

上部の太いフレームと金属製リムの組み合わせは、顔の輪郭を際立たせ、知性や自信を印象付けるデザインとして今なお根強い人気があります。さらに素材やカラーバリエーションの進化により、昔ながらのクラシックな印象だけでなく、モダンで洗練された印象を与えるデザインも登場しています。

このように、サーモントメガネは単なる視力矯正具を超えて、時代ごとのファッションや文化の象徴として進化してきたデザインと言えます。その独自のフォルムは、誕生から70年以上経った現在でも多くの人々に愛され続けているのです。